究極のギャングスタ・ラップ:スクーリー・D「P.S.K.ホワット・ダズ・イット・ミー?」

"Singles Column" by John Leland (May 1986)

“Singles Column” by John Leland (May 1986)
via. Spin Magazine

曲のテーマは「セックス」「銃」「薬物」と決して褒められたものではないが、音は最高にクール。究極のギャングスタ・ラップという評価。

米音楽誌「Spin」1986年5月号より。同誌のレビュー記事では、フィラデルフィア出身のラッパー、スクーリー・Dが前年、1985年に自身の自主レーベルからリリースしたシングル曲「P.S.K.ホワット・ダズ・イット・ミー?」をピックアップ。

コラムは「Spin」誌の編集者兼ジャーナリスト、ジョン・リーランド氏によるもの。

大手音楽雑誌としてのポジション的に「ダメ絶対」と言いつつも、この曲がその後のヒップホップに与えた影響力の大きさを予言しています。

スクーリー・D「PSK-ホワット・ダズ・イット・ミー?」
(B面「グッチ・タイム」)

まずは良いお知らせ。このレコードは信じられないほどにクールです。

悪意に満ちた催眠術のようなダスト・ビートと、イルな(ヤバい)ラップスタイルが一体となった「PSK」は、LL・クール・J「アイ・ニード・ア・ビート」以来、最も劇的で新しいハードコア・ヒップホップのレコードかもしれません。

この曲も同様に、最小限のツールで現実を歪ませています。

そしてサイケデリックの逆。その原始的なビートが、あなたの心の中の視覚的なイメージを一掃します。

Schoolly D ‎– P.S.K.-What Does It Mean? (1985)

Schoolly D ‎– P.S.K.-What Does It Mean? (1985)
via. Discogs

さて、良くないお知らせですが、これは悪いレコードです。

曲名の「PSK」とは「Park Side Killers」というストリートギャングの頭文字をとったもので、この歌は売春婦をナンパしたり、ピストルを持ったりすることをテーマにしています。

スクーリー・Dいわく「地元の仲間のひとりが、いかにして『男』になったか」。バル・ミツワー(成人の儀)に何が起きたのでしょう?

言葉よりも音の方が優れているとはいえ、究極のギャング・ロックのレコードには欠点があるのです。

"Singles Column" by John Leland (May 1986)

“Singles Column” by John Leland (May 1986)
via. Spin Magazine

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