
via. DailyRapFacts
「ラッパーズ・ディライト」に収録されたビッグ・バンク・ハンクのラップ。その作詞はグランドマスター・キャズによるもの。
「最初のヒップホップの曲」のひとつは、ゴーストライティングされたもの。もしくは以下の状況で盗作されたものです。
ヒップホップメディア「DailyRapFacts」の記事から。歴史的なヒット作「ラッパーズ・ディライト」でのMCビッグ・バンク・ハンクのラップは、グランドマスター・キャズのリリック(歌詞)をそのまま借用したものである、と指摘しています。
ビッグ・バンク・ハンクとして知られるヘンリー・ジャクソンが、(シュガーヒル・レコードの共同設立者)シルヴィア・ロビンソンの目に留まった時、彼は「マイティ・フォース」というグループのマネジメントをしていました。
(マイティ・フォースのメンバーには、グランドマスター・キャズが在籍。当時彼はカサノバ・フライを名乗っていました)
シルヴィア・ロビンソンがやってきたのは、ビッグ・バンク・ハンクが働くニュージャージーのピザ屋。
ハンクはグランドマスター・キャズのライムでラップしていました。
ビッグ・バンク・ハンクが作った曲だと思ったシルヴィアは、曲を気に入り契約書にサイン。ハンクはシュガーヒル・レコード契約することになります。
その1週間後、1979年リリースの「ラッパーズ・ディライト」は、ビッグ・バンク・ハンクとワンダー・マイク、マスター・ジーらによってレコーディングされることに。
ラッパーズ・ディライトにおけるビッグ・バンク・ハンクの歌詞は、グランドマスター・キャズの「ライム・ノート」からの引用でした。さらにキャズのかつてのニックネーム「カサノバ・フライ」、その自己紹介のセリフまでもそのままでした。
「いいかい? 俺はカ・サ・ノ・バ、そして、フ・ラ・イだ(Check it out, I’m the c-a-s-an-the-o-v-a And the rest is f-l-y)」
皮肉にもビッグ・バンク・ハンクは、こんなセリフをラップしています。
「人生何があっても、MCにライムを盗まれることはない(But whatever ya do in your lifetime Ya never let a MC steal your rhyme)」
当時はまだ「ヒップホップ」というものが音楽業界に存在していなかったため、グランドマスター・キャズは、法的措置を取ることができませんでした。
キャズは2000年に「MC・ディライト」という曲をリリース。この状況に対処しました。
ビッグ・バンク・ハンクは2014年11月11日、癌のため他界。
グランドマスター・キャズはハンクが亡くなる遥か前に、彼と和解していました。