
Sugarhill Gang / Rapper’s Delight (France 1979)
via. via. Discogs
米音楽メディア、ローリングストーン誌は「歴史上最も偉大なヒップホップ・ソング」と題し50曲を選出。
The 50 Greatest Hip-Hop Songs of All Time – Rolling Stone
名曲が50曲並ぶ中、ベスト1、2はどちらも「シュガーヒル・レコード」のアーティストで、見事1位に輝いたのが、グランドマスター・フラッシュ&ザ・フューリアス・ファイブの「メッセージ」。
そして2位に輝いたのが、その3年前にリリースされたヒップホップ・レコードの原点、シュガーヒル・ギャングの「ラッパーズ・ディライト」です。
関連記事:史上最も偉大なヒップホップ・ソング 12曲 [1979年 – 1986年編]:ローリングストーン誌が選ぶ
![[2] Sugarhill Gang, ‘Rapper’s Delight’ Non-album single, 1979](http://oldschoolhiphop.suniken.com/wp-content/uploads/2020/07/rappers-delight-sugarhill-gang-no-2-the-greatest-hip-hop-songs-of-all-time-rolling-stone.png)
[2] Sugarhill Gang, ‘Rapper’s Delight’
Non-album single, 1979
via. Rolling Stone
記事には「ラッパーズ・ディライト」リリースに至る経緯について書かれています。
シュガーヒル・ギャング「ラッパーズ・ディライト」(1979年)

The Sugarhill Gang (L to R) Master Gee, Wonder Mike, Big Bank Hank (Sugarhill Record office 1981)
via. Laura Levine/Getty Images
当時はまだニューヨーク・クラブ界隈での、アンダーグラウンドな「現象」に過ぎなかったヒップホップを、初めてラジオでトップ40入りさせたのが、ニュージャージー出身の3人の男たちです。
時は「ザ・メッセージ」リリースの3年前に遡ります。
シルヴィア・ロビンソンが経営していたレコード会社「シュガーヒル・レコード」は、倒産の危機に直面していました。
そんな中、彼女はハーレムのクラブで、ある発見をしました。
シルビアの息子、ジョーイが回想します。
「母の目を釘付けにしたのが、DJのトーク。その『煽り』に合わせ、観客達は声を上げ応えていました」
* シルヴィアの目を釘付けにしたDJとは「ラヴバグ・スタースキー」のこと。
「母は僕に言いました」
「ねえジョーイ、これって、レコードを作るには最高のアイデアなんじゃない?」
すぐにシルヴィアは「シュガーヒル・ギャング」のメンバーを集め始めます。
ジョーイは、ピザ屋で働く「ビッグ・バンク・ハンク」ことヘンリー・ジャクソンをスカウト。
ハンクは初期ヒップホップのテープをよく聞いていたので、ラップのやり方を知っていました。

Sugarhill Gang / Rapper’s Delight (Red label, 1st pressing 1979)
via. Discogs
オリジナルの12インチ・シングル「ラッパーズ・ディライト」は、まさに、都会のプレイボーイが語る「自慢話」が15分間に渡って収録された、というもの。
ラップのスタイルは、コールド・クラッシュ・ブラザーズのラッパー、グランドマスター・キャズから「拝借」したもので、さらに1979年のヒット曲「グッド・タイムズ」のベースラインをあからさまに引用し、リズムトラックを演奏しました。
そのフレーズを45時間も演奏しなければならなかったベーシストのチップ・シェアリンは、当時のことを「それはそれは長時間だったので、俺たちは玉のような汗をかいた」と語っています。
(当時17歳だったベーシスト、シェアリンのギャラは70ドル。
しかし、原曲「グッド・タイムズ」の作者、シックのナイル・ロジャースとバーナード・エドワーズは、後に「ラッパーズ・ディライト」に対し法的措置を。2人はソングライターとしてにクレジットされ、その印税を受け取っています)

Sugarhill Gang / Rapper’s Delight (Short Version, Red 1st 1979)
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「ラッパーズ・ディライト」は6分半に編集され、ポップ・チャートでは36位を記録しました。
この瞬間「ラップ」は、レコード音楽として「可能性」のあるジャンルとなりました。
ラジオから流れた曲に衝撃を受けたのがブロンクス界隈、DJグランドマスター・フラッシュのようなヒップホップのパイオニアたちです。
「シュガーヒルって誰だ?
こいつら、いったい何者なんだ?」

Sugarhill Gang / Rapper’s Delight (Germany 1979)
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