トラブル・ファンク「パンプ・ミー・アップ」最も過小評価されたゴーゴーの起源:クエストラブが語るヒップホップ・クラシックの背景

Trouble Funk – Pump Me Up (1981)

Trouble Funk – Pump Me Up (1981)
via. Hip Hop Be Bop

ゴーゴー・ミュージックというジャンルと同様に、このリストの中で最も見落とされ、過小評価されている曲。

1981年の夏、誰もがこのレコードをかけまくった。DJたちは、曲のイントロを切り取っただけの12インチ・シングルを作ったほどだ。

Questlove Picks Rap Favorites- Top 50 Hip-Hop Songs of All Time – Rolling Stone

ルーツのフロントマン、クエストラブ氏が語る、ワシントンD.C.出身のR&B/ファンクバンド、トラブル・ファンクの「パンプ・ミー・アップ」

米音楽メディア「Rolling Stone」の特集記事より。

後のヒップホップに大きく影響を与えることとなるブレイクビーツの最重要曲として、「パンプ・ミー・アップ」を第43位にランクインしています。

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[42] Trouble Funk, "Pump Me Up" (1981)

[42] Trouble Funk, “Pump Me Up” (1981)
via. Rolling Stone

トラブル・ファンク「パンプ・ミー・アップ」(1981年)

たとえ、フィラデルフィア出身のグローヴァー・ワシントンJr.「ミスター・マジック」が、ゴーゴーの「青写真」であったとしても、ワシントンD.C.には「パンプ・ミー・アップ」があることを力説したい。(間違っていると言うなら証明してほしい、できるものなら)

トラブル・ファンク「パンプ・ミー・アップ」は、ゴーゴー・ミュージックというジャンルと同様に、このリストの中で最も見落とされ、過小評価されている曲だ。

確かにゴーゴー界のゴッドファーザー、チャック・ブラウンの「Bustin’ Loose」は大ヒットを記録し、栄光を手にした。

しかしスタイル的には、ディスコというジャンルに、挑むように睨みをきかせたファンク爆弾、という印象。まるで学校の食堂にいる「いじめっ子」のようだ。

Chuck Brown & The Soul Searchers ‎– Bustin' Loose (1978)

Chuck Brown & The Soul Searchers ‎– Bustin’ Loose (1978)
via. Discogs

「パンプ・ミー・アップ」は、ヒップホッパーたちが「自分達のものだ」と主張した正真正銘、初めてのゴーゴー・ジョイントだ。

サルサの要素(コンガ、ティンバレス、シェイカー、ウッドブロック、カウベル)を取り入れることで、「部族の儀式」へと一変させた。たとえジャムが20分続いたとしても気付かないほど、強力な催眠効果を持っている。

ブレイクビーツをカットしたりスクラッチしたりするために「パパやママのレコード・コレクションからこっそり拝借する」というアイデアが生まれる以前、この特別な逸品は、その「おけいこ」として俺たちに、初の本格的な「同時代のブレイク」を提供してくれたんだ。

そして、この曲のリリースは(ヒップホップのブレイクビーツとして2番目に偉大な)スプーニー・ジーの「Love Rap」が出る数カ月前のことだった。

Spoonie Gee And The Treacherous Three ‎– Love Rap (1980)

Spoonie Gee And The Treacherous Three ‎– Love Rap (1980)
via. Discogs

1981年の夏、誰もが「パンプ・ミー・アップ」のレコードをかけまくった。

DJたちは、曲のイントロを切り取っただけの12インチ・シングルを作ったほどだ。

後にリック・ルービンが手がけた最高のジャム(例えば「Rock The Bells」や「She’s Crafty」、「99 Problems」のエンディング)や、テディ・ライリーの作品(「The Show」や「Mr Big Stuff」、「Teddy’s Jam」)の「青写真」が、この曲の中からはっきりと聴こえてくるはずだ。

L.L. Cool J ‎– Rock The Bells (1985)

L.L. Cool J ‎– Rock The Bells (1985)
via. Discogs

黒人のジャムバンドの音楽が、なぜ州の境界線を越えないのか、俺にはどうしても理由はわからない。

しかし、ヒップホップにおける「ゴーゴーの最高の瞬間」、その起源は間違いなくここにある。

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