ファブ・5・フレディー(フレッド・ブラスウェイト)作:タグズ / ドローイング(1984年)

Tags/Drawing (1984) - Fab 5 Freddy (Fred Brathwaite)

Tags/Drawing (1984) – Fab 5 Freddy (Fred Brathwaite)
via. Artsy

ニューヨーク、ドイル・オークションに登場した、ファブ・5・フレディー1984年の作品「タグズ / ドローイング」。

作品名にはグラフィティ・ライターのサインを意味する「tag」と絵画の技法「Drawing」が共存しており、ヒップホップ界とアート界の橋渡し役であったフレディーならではテーマ。オークションハウスのポール・フレイザーは「ニューヨークで最も影響力のある2つのムーブメント、抽象表現主義とグラフィティーの影響を受けた作品」と評しています。

ニューヨーク、ドイルで2016年に開催された「80年代ダウンタウン・アート展」や、スプリング・スタジオのアーバン・アートフェア(2017年)に展示された作品で、現在そのアーカイブをオンライン・アートブローカー「Artsy」で閲覧することができます。

Tags/Drawing, 1984 – Fab 5 Freddy (Fred Brathwaite) : Doyle/Artsy

ブルックリン出身のフレッド・ブラスウェイトは、ファブ・5・フレディーという名前で知られ、1970年代後半にグラフィティ・アーティストの草分けとして悪名を馳せました。

おそらく最も注目すべきは、1988年に開始しブラスウェイトが司会を務めたテレビ番組「Yo! MTV Raps」によって、ヒップホップ文化をニューヨークで起きた現象から、世界的なトレンドに成長させるきっかけとなったことです。

本作品、1984年に制作された「タグズ/ドローイング」は、ファブ・5・フレディーが地下鉄からギャラリーへ移行したことを象徴するだけでなく、80年代のグラフィティのすべてを象徴するものです。

ブラスウェイトは、違法なストリートアートから脱却し、グラフィティの生々しさを従来のファインアート・ギャラリーに再文脈化することができた、数少ない人物の1人でした。

「タグズ/ドローイング」が展示されたファンギャラリーでは、キース・ヘリングやバスキア、ドンディ・ホワイト、ケニー・シャーフらのキャリアをスタート。ジャンルを象徴するようなシーンにおいて、ブラスウェイトもその一員でした。

Fred Brathwaite’s pieces in the Fun Gallery show at the Urban Art Fair NYC (1984)

2017年、アート・フェアのファブ・5・フレディー・コーナーに展示された「タグズ / ドローイング」。ニューヨーク・スプリングスタジオで開催されたアーバンアート・フェアでは、ポップアップという形で伝説の「ファン・ギャラリー」が復活しました。
via. benjamin lowder

ファン・ギャラリー(FUN Gallery)とは、1983年に公開された映画「ワイルド・スタイル」の企画がきっかけで生まれたアートギャラリー。バージニア役で出演したパティ・アスターとファブ・5・フレディーが中心になって1981年9月に開催され、1985年の終了までに、キース・ヘリングやジャン・ミシェル・バスキア、フューチュラ2000、ドンディ・ホワイト、ケニー・シャーフ、カイリー・ジェンキンスらが参加しました。

Kiely Jenkins, Patti Astor, Arch Connelly, FUTURA, DONDI, and Fab 5 Freddy at FUN Gallery, New York (1982)

ブームボックス(SHARP GF508ST)で曲を鳴らし、ギャラリーにヒップホップ的な演出を取り入れるファブ・5・フレディー。(左から)カイリー・ジェンキンス、パティ・アスター、アーチ・コネリー、フューチュラ2000、ドンディ・ホワイト、ファブ・5・フレディー、ファン・ギャラリーにて(1982年)
via. Jane Dickson

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