
Bongo Rock / Apache – Arawak All Stars (1979)
via. Soul Strut
レコード・ジャケットは表面に「Apache」、裏面に「Bongo Rock」とプリントされたシンプルなもの。

back cover
via. Popsike
レコード・ラベルには大きくレーベル名「ARAWAK」とプリントされ、アーティスト名は「ARAWAK ALL STARS」名義になっています。

Side A
via. Discogs
またどちらの曲も作詞作曲者のクレジットはなく、B面の「Apache」のみ「(adapted)」と、「ちょっと曲を改変しました」的なことが一応書かれています。

Side B
via. Discogs
「ボンゴ・ロック / アパッチのカバー・バージョン」については、その正誤についてヒップホップ系のフォーラムでも度々話題に上がりますが、演奏者「アラワク・オールスターズ」やレーベル「アラワク・レコード」はすべて偽名、というのが現在の定説。
カバー曲であることも嘘で、メイド・イン・ジャマイカというのも法的なカモフラージュ。「インクレディブル・ボンゴ・バンド」が1973年にリリースした2曲を、ただダビングして作られたブートレグということです。
現在は、中古レコードショップの試聴やYouTubeなどで聞くことができますが、第一印象は「音質が悪くなった同じ曲」という印象。
オリジナル・バージョンとの大きな違いは、1分20分ほどある「ドラムとパーカッションのソロ」部分が、アラワク・バージョンではリピートされ、その分曲が長くなっています。
ヒップホップ関連の老舗メディア「Soul Strut」の解説では、ハーレムのポール・ウィンリーが製作したブートレグであると指摘しています。
Arawak All Stars – Bongo Rock 12″ (1979) : Soul Strut
いいえ、違います。このレコードは「インクレディブル・ボンゴ・バンド」をカバーした、レアなジャマイカ製ファンクの12インチではありません。
クラシックなBボーイが大騒ぎする普遍のテーマ曲「アパッチ」と、その裏表紙には「ボンゴ・ロック」と書かれたブートレグです。
悪名高いブートレガー、ポール・ウィンリーによって1970年代後半にリリースされたもので、(ブロック・パーティーでのジャムをもっと素敵なものにするために)ドラムがループされています。
正規品にみせるため、レゲエ・レーベル「アラワク」を名乗り、偽装までしています。
(「アラワク」は南米のインディアンであることを考えると、かなり巧妙だと言えるでしょう)
さらにプロデューサーが「ボブ・スミス」名義であることも忘れてはいけません。
ジ・アパッチ・バンド名義の「ボンゴ・ロック / アパッチ」

The Apache Band – Bongo Rock / Apache (Guava Records)
via. Discogs
ニューヨーク・タイムズの記事、「『ボンゴ・ロック』は何年にもわたって密造された」との指摘のように、アラワク・オールスターズ名義以外にもブートレグのバリエーションが存在します。
グアバ・レコード、ジ・アパッチ・バンド名義の「ボンゴ・ロック / アパッチ」はバンドとレコード会社が別名義ですが、なぜかプロデューサーだけが「ボブ・スミス」と同じ名前。
レコード・ラベルのレイアウトや書体等も「アラワク」版によく似ています。

The Apache Band – Bongo Rock / Apache (Guava Records)
via. Discogs
こちらのアパッチ・バンドは「デルトーン」レーベル名義。

The Apachie Band – Bungo Rock / Apachie (Dell Tone)
via. Discogs
誤植なのか、あえてなのか「Bungo Rock」「Apachie」と綴りの違いがあります。

The Apachie Band – Bungo Rock / Apachie (Dell Tone)
via. Discogs